運河の水辺空間とLRTを活かしたまちづくりに取り組む富山市議会議員・松本弘行のWEBサイト

故郷忘れがたく

2000m.jpg夏の終わりの日曜日に大阪で、近畿在住の市出身者の集まりがありました。交通が便利になっても、生まれ育った地は懐かしく、いつもニュースに一喜一憂しているとのことでした。役員のご挨拶のなかで「とくに富山ライトレールのことが全国版で度々報じられ、かっての富山港線を知る者にはとても嬉しい」と述べておられました。

全国的な関心
議長の立場で全国各市の議長と会う機会があります。最近、名刺をだすと「ああライトレールの富山市さんですネ」と反応がくるほどで、正直驚いています。事実、同型のLRT(次世代型路面電車)の導入を検討する地方都市が複数あると聞いています。このきっかけを作ったことは間違いありません。ただ、その動機こそが肝心です。

導入に至る背景
行政が交通問題を、単なる思いつきやノスタルジーで導入するには、余りにも危険が多過ぎます。そのリスクとは、公費を投入するだけに採算が合うかどうかにかかっています。始まったばかりで、その結果はまだ出ていません。ただし、既存の市電との接続までは、ある程度の赤字は覚悟で臨んでいます。新しい公共交通の試み、たとえばコミュニティバスや定期路線バスの存続にしても公費支援はされています。
ここで大切なことは、クルマ依存の社会から転換するには、ある程度の社会基盤の投資リスクは避けられないという考えであり、導入するならその理念を首長の政治生命にかけて、どう市民に説明し理解を得るかにあります。

壮大なまちづくりの実験
クルマ社会と高齢化の進展、核家族化と住宅の郊外展開などはどの地方都市もかかえる問題です。合併した富山市は、幸いなことに既存の鉄軌道が、廃線の心配をかかえながらも主だった町をつらねて張りめぐらさせています。
これからの地域内の移動を、マイカーに頼らないで鉄軌道やバスなどの公共交通を活用できる町、そして県都としての求心力を高めながら拠点のまちの活性も図るというコンパクトなまちづくり構想。これはクルマ社会後をにらんだスケールの大きなまちづくりの取り組みといえます。その意味でライトレールは、その取りかかりに過ぎません。

今までにない手法
市長の着想の非凡さもさることながら、この意図の周知に今までの行政のやり方に頼らず、徹底して直接市民に訴えたことにあります。昼夜分かたないミニ集会の回数は数え切れないはずです。ライトレールの快調なすべり出しに市民も行政自体も驚いていますが、国・県の大きな協力のもとで、首長の全知をかけた意気込みも忘れてはならない視点です。

唱歌「故郷」の合唱
富山市が取り組むまちづくり構想は始まったばかりです。その基にあるのは北陸新幹線の開設であり、その対応といって間違いではありません。それほど新幹線効果は、良かれ悪しかれインパクトの強いものがあります。
前述の会でも「ようやく新幹線網に組み入れられるようになったか」との皆さんの思いがにじみ出ていました。会は最期に「故郷」と「赤とんぼ」を合唱しました。参加者はいずれも中高年の方で目がうるみます。返礼の主唱者の私も感情のたかぶりを抑えることはできませんでした。冷静さとはほど遠いものでしたが、終って多くの皆さんから握手を求められました。来場して全員の方と、ふるさとをひとつにできた幸せなひと時でした。

投稿者 松本弘行 : 2006年08月31日 08:55