合併区まわり
議長として昨年4月に合併した6旧町村役場の総合行政センターを訪ね、あらためて合併事業は町村にとって大きな決断であったことを実感しました。それぞれの地区は、地形による固有な役割やいままでの歴史を背景にした多彩な生活文化が根付いていることに驚かされます。合併をした以上は、市全体に埋没しないで、いかに地域の特色と役割を発揮できるか、が今後の課題です。
川上と川下
国内でも最大級の市域を結びつける合併のキーワードとして、市長は「川上から川下まで」とよく口にします。富山市を縦貫する神通川と常願寺川によって、新市の中核である旧富山市はさまざまな恩恵を受けています。私たちは過去の水害で大河に対して怖い印象を持ちますが、飲料水、潅がい用水のみならず産業に欠かせない工業用水、電力も豊富な河川のお陰といっても過言ではありません。合併を機に、川上と川下の一体感と河川のもつ役割を再考する必要があります。
カドミ汚染
今回の視察で再認識させられたのは、神通川水系のカドミュウム被害の甚大さです。上流の神岡鉱山に発する公害は、工業化による川上と川下の最悪の「負の遺産」といえます。その対策は旧富山市の人口と産業の動態や中心商店街にも大きく影響しました。
富山平野の中核をなす婦中地区の潅がい用水は、ほぼ神通川水系であり、汚染田は宅地造成と工業団地に変わりました。結果は巨大郊外店が進出し、団地には旧富山市と周辺町村から一戸建て希望者が集中し、主要企業の移動もみられます。急速な市街化は、排水処理が追いつかず一昨年の洪水さわぎの原因にもなりました。
神通川左岸の平坦部には、都市化による新たなインフラ整備や都市問題が浮上しています。
交通問題
いま富山市は、急速な高齢化社会を見据えて「マイカーから公共交通へ」という壮大な社会実験に取り組んでいます。中心施策は鉄軌道の復活ですが、その恩恵に浴さないエリアをどうカバーするかが問題です。とくに中山間地に欠かせないスクールバス以外は地域バスの採算は期待できません。集落をつなぐのにマイカー頼みの現状では道路整備が、今後の過疎化対策としても不可欠になっています。都市生活者からは見えにくい部分です。
棚田と山林対策
来年から国の農政が変わり「農業も経営時代へ」といわれますが、それが可能な平野部と斜面が大半の山間地では競争になりません。国も緩和策を出していますが、地方自治体でも特定財源をつくり、除雪や屋根雪おろしも含めた支援策を考えるべきでしょう。
その意味で県が検討中の森林環境税の行方が注目されます。私たちは山林や棚田を日本の原風景として単に郷愁の目で見るのでなく、村人の手で維持管理されることが即、都市の飲み水を確保し、防災にもつながっていることを理解すべきです。
飛越交流
こうして見ますと、富山市全体の課題としてはT字に交わる国道の縦の部分・国道41号線が、合併区にとっても深い関わりがある共通項になっています。もともと飛騨地方とは一体的な経済圏でしたが、広域観光の視点からも一層の交流を深める必要を感じました。JR高山線の復旧は勿論のこと、富山高山高規格道路(国費)の早期建設が、富山市のつぎの命題になってきていることは明白です。
投稿者 松本弘行 : 2006年04月16日 17:47