師走(しわす)入りの明暗
もう師走。世の中の動きが早くて、つい先日正月を迎えたばかりの錯覚に陥ります。
今年のでき事を振り返る極めの月、しかし新しい年に夢を託すのもこの月といえます。
あい変らず暗いことが多い反面、初日の快晴のもと雪を戴く立山連峰の美しさは、神々しいまででした。この稀有な景色がある限り、富山市は「明日へつながる街」なのです。
連続して小1の女児が、痛ましい犠牲になっています。安全日本は過去の神話になったのでしょうか。考えられない社会になってきました。
ようやく景気も明るさが見えてきた矢先、日航富山便、富山西武デパートの撤退、老舗料亭海老亭の倒産と続いています。世直しに伴う痛みが、骨身にまで沁みてきます。
● 西武デパート撤退の衝撃
なかでも西武の撤退は、富山市の中心街再生構想を根本から崩しかねない大問題です。
予想されたとはいえ現実化すると、ことの深刻さに戦慄せざるをえません。富山市は、国道41号線の掛尾交差点から南下して駅北までの線を都市軸と想定。行政機関も公共建造物、従って商業集積もR41号線に収束されつつあります。大和デパートの西への移転は、その力学に沿ったもの。中心軸が持つ求心力といえるかもしれません。
富山市は他の地方都市同様、中心部の衰退に悩んでいます。市の計画では、商業施設の再開発をすすめると同時に高層化して居住性をたかめ、公共交通の利便を計り、中心市街地を再生しようというもの。市きっての繁華街・総曲輪(そーがわ)通りは、西に大和、東に西武(二核一モール)があってこそ、中央通りや西町など周辺商店街への繋がりが期待できました。このままでは中央通りの再開発構想にも影響がでてきます。
● 大和跡地は図書館を誘致か
思えば12月議会の最大焦点でしたが、開催直前だったこともあり、質問も本質に迫る余裕なく、うわべだけで終わりました。ただ行政はことの重大さを意識し、大和が引っ越す跡地利用を、それとなく打診し始めました。もたもたしていると富山市のど真ん中に二つの大穴が空きかねないからです。
これまで跡地利用は中央図書館、ガラス美術館、こども会館の公的施設の併設が取り沙汰されてきました。が、最も人が集まる図書館は、路面電車の環状線化もあり、中心の中心には妥当案と言えそうです。
● 観光振興のモトにあるもの
暗い世相の中で、新年に希望を抱かせる二つの重要なフォーラムがありました。
貯蓄堅実志向の県民気質にとって遊びまわる観光は、これまで教育や行政でも副次的に扱われ、昨今の人口減少で急浮上。この世界にようやく光明が見え始めました。
ひとつは、ものづくりの伝統を活かす「産業観光」の可能性について、もう一つは、富山のオンリーワンブランドを探る試み。二つを通して感じられるのは、産、官、学の協同体制が本腰になってきたことと、世界に類のない自然に恵まれた環境に誇りをもつことでした。オンリーワンの具体例は、立山の景観と豊富な水資源であり、その中で育まれた健康志向の薬業に集約されそうです。かっての売薬に潜む進取の気質は、いまも生きているし、これからの創業に活かされるべきという指摘もありました。企業訪問への協力体制は整いつつあり、恵まれた食材の魅力とともに、富山観光の名脇役になることは確実です。
それにしても、この種の会では「郷土を知り、誇りをもち、もてなしの心で迎える」という観光の基本づくりが決まり文句になってきました。観光立県へ、新年の課題です。
投稿者 松本弘行 : 2005年12月10日 20:49