路面電車によるまちづくりを考える
半月に一回で届けている私のレポートには、いろんな方から感想や意見が寄せられます。
いつも心強い支援をくださる方から手紙を頂きました。一年後には開業している富山ライトレールへの熱い期待とそれに反して、周りに批判的な声があることも述べられています。
● クルマ社会からの転換期
選挙につきものの議員が地元をくまなく訪ねることは、地域の状況を探るということで極めて大切なことです。私は5回経験していますが、2〜3回目頃から地域の急速な高齢化に気づきました。3回目以降は、留守をするおばあちゃんに、買いものや病院通いのためにも富山港線を路面電車化して活かすことが必要だと話しますと、ゼヒ実現してほしいと中には手を合わされる人もいました。若い人との同居は少数にしても、クルマを使えなくて生活に不便を感じているひとが確実に増えているのです。
● 死んだモノを生き返らせる
森市長は、今回の選挙の公約として、公共交通の活性化をあげています。なかでも廃線の運命にあったJR富山港線の路面電車化が事業の中心になっています。公共交通のこれまでの経過とこれからの課題を考えると、市長の決断に並々ならぬ覚悟を感じざるをえません。いまやゲタ代わりになったクルマから、どう見ても採算の合わない公共交通利用へ。まかり間違えば命取りになりかねない大命題なのです。
● 富山ライトレールは公共交通活性の始まり
公共交通、なかでも鉄軌道は固定しているために、恩恵を受ける人とあずからない人の受けとり方は千差万別。「これだけのクルマ社会のなかで利用する人は一部。まして富山北部に限定された電車に公費をつぎ込まれては堪らない」という人が大勢おられます。
それに対して市長は「鉄軌道を路面電車化して既存の市電につなぎ、富山の公共交通の中心軸として多様な交通システムと連動させる。富山ライトレールはその端緒に過ぎない」と明快に述べています。市域が広がった富山市内旧町村の鉄道活用も視野に入れて、公共交通の活性化には、評価が高い「おでかけバス」並みの策で期するところ大のようです。
● 新しい交通システム
その一例として、富山ライトレールの開業によって廃止される既存路線バスに変わって、主要な駅を基点とする小回りな定期路線バス(フィーダーバス)が検討されています。
路面電車駅まで距離がある交通不便地帯の対応は、地域にあった交通システムが工夫されるべきです。例えば停留所までに限った送迎に、地域でストックしているクルマを出し合うシルバー用互助システムなどはこれからの課題です。
● 路面電車によるまちづくりとは
富山県は、いまや路面電車によるまちづくりの実験地として全国の注目を集めています。
先駆的に高岡の万葉線がありますが、JR線は国内で初めてであり、成り行きは今後の枝線存続に影響を与えることは間違いありません。けれども路面電車によるまちづくりの本質は、電車利用者を増やす工夫によって沿線地域全体の活性化につなげることにあります。
市民から忘れられていた地域を生き返らせること、いきいきとして魅力にあふれた町に創りかえることは、行政の梃入れと同時に地域住民の責務であるはずです。そんな目でみると近年、富岩運河整備といい岩瀬のまち並みづくり、エコタウン、パークゴルフ場設置など県も市も格段に力が入っています。その変化に気づいていないのは案外地元の人たちかもしれません。私も地域の中で「足元の魅力を探ろう」運動に努力してゆくつもりです。今年は「水辺をさぐる」をテーマに、講演と現地探訪の10回の企画をはじめています。
投稿者 松本弘行 : 2005年06月06日 12:40